パンデミックは、私たちが知っている仕事の未来を変えました。つまり、企業は、従業員が仕事に臨む方法を常に進化させ続ける必要があるのです。リモートワークやフレックスタイム制は今後も継続されるため、新しいテクノロジーと新しいアプローチからすべてが始まります。
Figmaのようにハイブリッドなワークモデルへの移行を選択した企業もあれば、Dropboxのようにバーチャルファーストのアプローチを採用した企業もあります。どの方向に進むにせよ、どの企業も「この新しい世界で、一体感をどう維持するか」という同じ問題で悩んでいます。
Dropboxは、どこからでも仕事ができるようにするソフトウェ アを提供していますが、ほとんどの社員は毎日オフィス に出社していました。同社では、世界12拠点のオフィス内にメーカー用ルームやコラボレーションスペースを配置し、文字通り対面でのコラボレーションやクリエイティビティのために企業文化が物理的に設計されていました。
たとえば、デザインチームでは、デザインスプリントや即席のブレインストーミングの前に、ポストイットやシャープペン、恐竜の置物など、創造性を掻き立てるものをワークショップの道具箱から探し出すことがよくあります。クリエイティブな流れに乗るのは、一緒に部屋に入るのと同じくらい簡単なことだったのです。
この新しいリモート世界では、その流れに乗るにはより強い意志が必要であり、それは難しい場合があります。私たちは、何十年にもわたって日常業務の一部であった規範を完全に変えています。Dropboxは、物理的な空間でかつて見られたのと同じエネルギーを維持しつつ、チームが集まってオンラインで創造する方法を再構築する必要がありました。
2018年にデザイン組織をSketchからFigmaに移行したDropboxのデザインチームは、リモートコラボレーションに関して、先手を打ちました。このチームは、ブレインストーミング、ワイヤーフレーム、プロトタイプ作成、コメントなど、制作プロセスのほぼすべての段階において、すでにベストプラクティスを確立していました。デザインシステムリードのLauren LoPrete氏は、「Figma は、ワークフローを簡素化し、Dropboxのデザイン全体の仕事の品質と効率を向上させてくれました」と述べています。しかし、パンデミックが発生し、チームが完全なリモートワークになると、さらに多くのことを行う必要がありました。
かつての創造的な閃きを再び呼び起こすために、今はリモートワークのデザイナーたちは、ワークフローを合理化し、コミュニケーションの断絶をなくすために、Figma にさらに依存しています。たとえば、直接会ってデザインを確認する会議の代わりに、チームはFigma の観察モードを利用して、プレゼンターの作品発表を一緒に見ています。
ペアで並んでデザインしたり、誰かのデスクまで行ってその場でブレインストーミングをするのではなく、デザイナーはFigmaのリンクを共有してファイルに飛び込むだけで、一緒にすばやくアイデアを練り上げることができます。
リモートワークでは、部門を超えたコミュニケーションがより重要になるため、デザイナーは、エンジニアやプロダクトマネージャーとFigmaで仮想的にデザインスプリントを開催しています。Figmaはオンラインで誰でもアクセスできるので、デザイン以外のチームも簡単に参加できます。
また、デザイナーは、既存のFigmaワークフローを適応させ、非同期通信の新しい方法を導入する必要がありました。たとえば、Design SystemとBrand Studioのチームは、プロセスを合理化し、アイコン用のFigmaテンプレートをデザインして、ブランド デザイナーがアイコンファイルが完成した時点でページの横に✅を配置するようにしました。毎週月 曜日の朝にライブラリの公開が行われるため、Design Systemのチームがファイルをチェックし、新しいアイコンがあればマスターライブラリに変換し、公開します。これによって不要なやり取りがなくなり、プロセス全体がより効率的になりました。よってチームは、同様のプロセスを他のコラボレーションライブラリにも適用することを計画しています。
プロダクトデザイナーのStan Yeung氏は、「Figmaは、パンデミック以来、私たちの世界の中心になり、デザインファイル自体の中でより多くのコミュニケーションやコラボレーションが行われるようになりました」と述べています。
組織全体が完全なリモートワークへの移行に備える中、デザインチームは、バーチャルで一緒に仕事をするチームのあり方のモデルとなりました。そのため、プロダクトデザイナーのCheechee Lin氏は、部門を超えた大規模なチームと共に、Figmaの操作方法や、コメント、エクスポート、表示/フォローなどの主な機能の使い方を習得するために、数回の実験的なFigmaワークショップを実施しました。その目的は、誰もがFigmaを快適に使えるようにすることで、オフィススペースで行っていたように、また一緒に仕事ができるようにすることでした。
「Figmaのプロセスに相手を参加させることは、やり取りのサイクルのスピードアップに役立つだけでなく、特にバーチャルファーストの世界ではホワイトボードがないため、視覚的に一緒にバーチャルでコミュニケーションする場を提供できることに気づきました」と、Cheechee氏は説明します。
このトレーニングは大成功を収め、マーケティング、リサーチ、データサイエンスなどのチームにわたり、延べ200人以上がワークショップに参加するまでに拡大しました。
Figmaは、Dropboxの全組織に開放されており、誰もが気軽に参加し、創造性を発揮して、一緒にビジュアルでコミュニケーションできるスペースです。現在、Figmaではあらゆるタイプのチームが参加しています。QAは、デザインフローを複製し、テストケースをメモしてテストプランを作成しており、デザインリサーチャーは調査データと定性的な洞察を並べて提示し、組織全体の人々がFigmaでプレゼンテーションを共同作成しています。
Figmaは、単なるデザインツールではありません。すべての Dropboxユーザーが集まり、アイデアを明確にし、コミュニケーションをとり、1つのDropboxコミュニティとして一緒にいられる空間です。Stan氏は「Figma は、私たちの新しい仮想ホワイトボードになりました」と述べています。
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