際立つ製品を作るためのKarri Saarinenの10のルール


LinearのCEOが、「すばやく動き、破壊せよ」だけでは不十分となった時代における品質へのアプローチを共有します。テクノロジーの未来を再定義するクリエイターたちが集うConfig 2025で、その講演をぜひお聴きください。
際立つ製品を作るためのKarri Saarinenの10のルールを共有
ヒーローイラスト: Luis Mazón
Config 2025アジェンダが公開されました
サンフランシスコで開催されるConfig 2025 (5月6日〜8日)にご参加ください。Karriの講演をはじめ、テクノロジーの未来を再定義する素晴らしいクリエイターたちの話を聞くことができます。バーチャルはいつでも無料です。
ソフトウェア開発プラットフォームLinearのCEO兼共同創業者であるKarriは、激戦区のスタートアップ市場において、揺るぎない品質を差別化要因とすることで成功を収めてきました。そのアプローチは、ザッカーバーグの「すばやく動き、破壊せよ」という信条に対する新たな選択肢を示しています。この信条は数年前には有効だったかもしれませんが、より成熟し、デザインを重視する今日の市場ではもはや通用しなくなっています。「そのレベルの能力や品質に匹敵しなければ、人々は注目してくれない」とKarriは言います。
このクラフトへこだわる姿勢が、Karriがスタートアップ最大の課題と呼ぶもの、すなわち人々の注目を集め、関心を引くことという問題を解決しました。Linearにとっての解決策は、クラフトを追求することでした。「私たちは品質から始めました。そうしたら、人々が実際にそれに気づいてくれたのです。というのも、特にスタートアップにとっては、これは珍しいアプローチだからです」と、Karriは言います。注目を集めたいと思っている皆さん、ぜひ参考にしてください。ここでは、Karriがクラフトを重視したものづくりにおける10のルールを明かしています。
1. 経営レベルで品質へのコミットメントを明確にする
品質の文化を築きたいのであれば、トップからの支持が必要です。チームが従うべき最優先事項としてクラフトを位置づける姿勢を示す必要があります。このようなトップレベルでのコミットメントがあることで、会社のあらゆる取り組みにクラフトを組み込むための土台が生まれます。企業が失敗するのは、明確な実行計画がないまま「クラフトは重要だ」と掲げる場合です。自問すべきは、「それは自社のビジネスにとってなぜ重要なのか」という点です。Coinbaseに在籍していたときに、デザインが同社にもたらした効果を目の当たりにしました。デザインのおかげで、暗号資産業界はより親しみやすく、理解しやすいものになりました。こうした要素は、業界を主流に押し上げようとする際に重要な役割を果たします。
2. チーム作りにおいては、小規模で高い目標を掲げる
人数が増えるほど、意見や議論が増え、チームで実行する業務の質が薄れてしまいます。対照的に、小規模で高品質なチームは迅速に良い仕事を生み出します。では、小さくても強力なチームを作るにはどうしたらよいでしょうか。既に素晴らしい成果を上げているクラフト志向の人々を採用することです。重要なのは成果の量ではなく、基準を確立することです。
3. ハンドオフという考え方をなくす
品質へのこだわりとは、点と点を結びつける能力にほかなりません。プロダクトマネージャーが方針を決め、デザイナーが可視化し、エンジニアが実装するというような、過度に専門分化したチーム体制は、サイロを生み出します。Linearでは、メンバー全員が品質に責任を持つチームが連携しており、いわゆる開発者への引き継ぎはありません。責任を逃れるメンバーなどいないのです。デザインがどのように実装されているかを全員が理解し、その結果に対する責任を分かち合うことで、高いクオリティを実現する可能性がはるかに高くなることがわかりました。
4. 特化型プロダクトチームの設置を避ける
クラフトを重視した組織構築におけるもう一つのポイントは、明確に定義されたプロダクトチームを過度に増やさないことです。企業はリーダーシップのために組織を簡素化しようと、こうしたチームを作りたがりますが、それは結局、品質や文化における不自然な分断化を招きます。気づけば、組織図上ではある領域では高品質な成果が出ている一方で、別の領域では品質が低下していたり、実験的な取り組みを行うチームとそうでないチームが混在したりする状況に陥ります。Linearでは、誰かが毎日検索機能の担当として働くような固定チームは設けていません。同じテーマについて一貫して優れたアイデアを生み出し続けることは難しいからです。その代わりに、アイデアを新鮮に保つために責任をローテーションします。結局のところ、ユーザーは組織図など気にしません。気にするのは、実際のエクスペリエンスです。
5. 仕様は目標ではなく、最低限の実用可能な製品の基準だと考える
今日のスタートアップ市場は、高品質な競合がひしめいており、際立つためには卓越性が求められます。素晴らしい製品には、通常よりも多くの気配りをする人、あるいは多くの人の存在が必要です。仕様どおりに何かを作ることはいつでも可能です。ドアはドアであり、開くならそれは技術的に機能しています。仕様を満たすのは簡単です。しかし、クラフトを実践するのは困難です。品質を高めるには、仕様をゴールではなく出発点として捉えるチームが必要です。
品質を高めるには、仕様をゴールではなく出発点として捉えるチームが必要です。
6. 品質とは、完璧であることではない
プロダクトは公開前に、あらゆる細部が正しく整っている必要があります。しかし、それは完璧でなければならないという意味ではありません。そのためにベータユーザーがいます。最初は粗削りな状態から始め、磨き込みながら洗練された完成度へと高めていけばよいのです。ただ、自社の品質基準を満たすまでは、顧客に見せてはいけません。そのしきい値を測るのは難しいかもしれません。欠陥は数えることができますが、卓越性は定量化するのが難しいからです。クラフトそのものと同様、私たちの成功指標は往々にして定性的なものです。私にとっての成功とは、質の高いソリューションに関する自然な会話の中で、Linearの名前が挙がっているのを見ることです。
7. 最高のデザインには主張がある
特定の誰かを想定してデザインしてこそ、素晴らしい製品を生み出すことができます。万人向けに製品をデザインするのは、ほぼ不可能です。製品の目的が具体的であればあるほど、意図された用途に対して優れたパフォーマンスを発揮します。さまざまなユースケースに対応できる、柔軟でオープンエンドな、ある程度は良い製品を作ることは可能です。しかし、特定の用途において傑出したものにはならないでしょう。市場とユーザーの信頼を勝ち取るためには、製品には明確な価値提案が必要であるため、これは弱い立場と言えます。

Figma用Linearプラグイン
Linearプラグインを使えば、作業の流れを途切れさせることなく進められます。キャンバスから離れることなくLinearの課題を作成し、Figmaのデザインとリンクさせることができるため、チームやツールを超えて全員の認識を揃えることができます。
8. 品質を向上させる最も簡単な方法は、範囲を狭めること
品質向上に苦労している人は、たいていやりすぎています。すべてを完璧にこなせないなら、まずは範囲を狭め、プロジェクトを1つずつ進めていきましょう。全体の機能を一から十まで理解できないなら、一部だけを作り、その部分を極めて高い品質で仕上げます。そして、ユーザーが使い始めたらフィードバックを集めます。Linearでは、品質向上のためにペースを落とす必要はないと考えています。細部に気を配る必要はありますが、すべての部分を同時に気にする必要はありません。品質は二元的なものではなく、基準を満たすように製品を継続的に改善することです。
品質は二元的なものではなく、基準を満たすように製品を継続的に改善することです。
9. ひとつのやり方にこだわらない
Linearでの仕事の進め方についてよく尋ねられますが、私たちには決まったプロセスは存在しません。その代わりに、価値観と原則を定め、メンバー一人ひとりが「何を」「なぜ」つくっているのかを考えられるようにしています。製品やビジネスをより広い視野で捉えられるエンジニアやデザイナーを採用し、共有のSlackチャンネルを通じてユーザーと直接つなげています。私たちはチームに直接的な責任と自由に意思決定を行う権限を与えるとともに、達成すべき基準も明確に定めています。
10. データは頼りすぎると足かせにもなる
Linearでは、データや実験(A/Bテストを含む)に基づいて意思決定を行いません。クラフトを重視したデザインを行うには、自分の直感を育て、それを信頼する必要があります。もちろん、誤った選択をすることもあるでしょう。しかし、その失敗は思考実験となります。なぜうまくいかなかったのか、と問い直すきっかけになるのです。「ユーザーと話したか?」「彼らの声に耳を傾けたか?」このアプローチは、安易な逃げ道を与えず、チームにより大きな責任を負わせるものです。
最高の体験を提供するには、ユーザーを驚かせる必要があります。データやユーザー自身がどうすればいいかを教えてくれるとは期待できません。品質は測定が難しいものです。だからこそ、データを指針とせずに決断を下すことに慣れる必要があります。成功の鍵は、クラフトを大切にし、専門知識に基づいて的確な判断を下せる人材を採用することにあります。
最高の体験を提供するには、ユーザーを驚かせる必要があります。データやユーザー自身がどうすればいいかを教えてくれるとは期待できません。
品質とクラフトに対するKarriのアプローチは、テクノロジーの未来をめぐる幅広い議論における1つの視点に過ぎません。Config 2025では、テクノロジーをより思慮深く、人間味のある方向へと導いているクリエイターたちの話を聞くことができます。
全プログラムのラインナップは、config.figma.comで公開中です。




